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分子遺伝学研究部門


分子遺伝学研究部門ホームページ

わたしたちの研究室では、染色体異常の発生メカニズムの解明を目的とした研究をおこなっています。染色体異常は、精神発達遅滞の原因の中で最も頻度の高いものです。また、不妊症や、習慣流産の原因の中でも染色体異常の占める頻度は高いことがわかっています。このような染色体異常が、なぜ、どのようにして発生しているのかはまだよくわかっていません。しかも、現代のような少子化、母体の高齢化の時代において、生殖補助医療の進歩も相俟って、たいへん重要な研究テーマとなっています。

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研究内容

(1)染色体構造異常の発生メカニズム

染色体転座やコピー数異常のような構造異常の発生は、ランダムなできごとであると考えられてきましたが、近年、「non-B型DNA(特殊2次構造のDNA)」や「染色体核内配置」が染色体再構成の発生メカニズムと密接に関連していることがわかってきました。私たちは、染色体構造異常のモデルシステムを構築し、次世代シーケンサーやゲノム編集などの新しい手法を駆使して、染色体の構造異常の発生メカニズムを研究しています。

(2) 染色体数的異常の発生メカニズム

ダウン症候群などの染色体の数的異常の発生頻度は母親の加齢に伴い増加しますが、その発生機序はよくわかっていません。また、均衡型染色体異常の男性保因者は無精子症になることが多いですが、保因者が女性の場合はなぜか習慣流産となります。私たちは、このような現象は、減数分裂における染色体分離のメカニズムの男女間の違いに起因します。私たちは、これらを種々のモデルシステムを用いて、解明しようとしています。

(3) 先天異常や染色体異常、遺伝性疾患の遺伝子診断

私たちは、「疾患遺伝子網羅的解析センター」において、診断未確定の患者さんの依頼検体を学内外から受け入れ、マイクロアレイ染色体検査や次世代—シーケンサーなどによる遺伝子診断を提供しています。また、近年に急速に進歩しつつある無侵襲出生前診断(NIPT)や網羅的着床前診断(cPGD)の臨床応用に関しても大規模な共同研究を進めています。

(4) 遺伝カウンセリング

近年の、乳がんの発症前診断や新型出生前診断の過剰な報道により、一般の方の「遺伝」に対する関心が強くなってきました。ところが、1方向性の情報は、さらなる疑問と不安を引き起こします。また、「遺伝」の問題は倫理的、法的、社会的な側面も持っているために整理することが難しくもなっています。藤田保健衛生大学病院・遺伝カウンセリング室では、さまざまな遺伝性疾患・染色体疾患の患者さんやそのご家族の意思決定に関わる情報提供や心理的支援を行なっています。

代表的な業績


1. Inagaki H, Ohye T, Kogo H, Tsutsumi M, Kato T, Tong M, Emanuel BS, Kurahashi H. Two sequential cleavage reactions on cruciform DNA structures cause palindrome-mediated chromosomal translocations. Nat Commun. 2013; 4: 1592.

2. Tsutsumi M, Kowa-Sugiyama H, Bolor H, Kogo H, Inagaki H, Ohye T, Yamada K, Taniguchi-Ikeda M, Toda T, Kurahashi H. Screening of genes involved in chromosome segregation during meiosis I: in vitro gene transfer to mouse fetal oocytes. J Hum Genet. 2012; 57: 515-22.

3. Miyamura H, Nishizawa H, Ota S, Suzuki M, Inagaki A, Egusa H, Nishiyama S, Kato T, Pryor-Koishi K, Nakanishi I, Fujita T, Imayoshi Y, Markoff A, Yanagihara I, Udagawa Y, Kurahashi H. Polymorphisms in the annexin A5 gene promoter in Japanese women with recurrent pregnancy loss. Mol Hum Reprod. 2011; 17: 447-52.

4. Ohye T, Inagaki H, Kogo H, Tsutsumi M, Kato T, Tong M, Macville MV, Medne L, Zackai EH, Emanuel BS, Kurahashi H. Paternal origin of the de novo constitutional t(11;22)(q23;q11). Eur J Hum Genet. 2010; 18: 783-7.

5. Bolor H, Mori T, Nishiyama S, Ito Y, Hosoba E, Inagaki H, Kogo H, Ohye T, Tsutsumi M, Kato T, Tong M, Nishizawa H, Pryor-Koishi K, Kitaoka E, Sawada T, Nishiyama Y, Udagawa Y, Kurahashi H. Mutations of the SYCP3 gene in women with recurrent pregnancy loss. Am J Hum Genet. 2009; 84: 14-20.

研究スタッフ

教授

教員

大学院生

大学院生
D6:加藤良美
D4:古川源(小児科)
D1:佐古悠輔(産婦人科)

スタッフ

<博士研究員>
Atefeh Joudaki

<研究補助技術員>
七里由衣

<研究補助員>
神谷鳴美
小柳真知子

<客員助教>
加藤 あす香
真⾥⾕ 奨
古俣 知里
白井 美希
村瀬 悠理

<客員研究技術員>
柳原玲
白濱沙恵子

<研究生>
西山幸江
大内雄矢