藤田リハビリテーション医学・運動学研究会会報
第2号 1999,2
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藤田保健衛生大学リハビリテーション科の活動
海外研修
〜ジョンズホプキンス大学研修日記〜
第1病院 PT加藤智香子
今回私とST藤本先生は米国、Johns Hopkins University Dept. of
Physical Medicine and Rehabilitation(JHU PM&R)に行かれる才藤教授に同行し、3日間の研修の好機を得ました。最初にこの場をお借りして、このような機会を与えて頂きました才藤教授ならびにリハビリ科全スタッフに深く感謝の意を表したいと思います。
JHUはMaryland州Baltimore市にあります。BaltimoreはWashingtonD.C.の北東にある港町で、シーフード料理がおいしくCrab(蟹)料理は絶品です。また、学都としても知られており、その中でもJHUは患者が選ぶ全米
No1 hospitalに2年連続選出されている素晴らしい病院です。私達はこのJHU系列のGood Samaritan Hospitalで研修してきました。
この病院の総床は250床でその内50床がリハビリ科です。私達が研修したリハビリ室のスタッフ数はPT8名、OT5名、ST5名でした。PT対象は入院患者のみであり、整形疾患が50%、CVAが25%、脊髄損傷が15%、全身衰弱が10%とのことです。PT1人当たりの患者数は約6名ですが、患者によっては、1時間のPTを1日2度行います。ここでの在院日数はとても短く、CVA患者では1〜3W、脊髄損傷(原因は驚くべき事に90%が銃によるもの)では1〜2WでNH(Nursing
Home)へ行き、引き続きリハビリを行います。
今回の研修の感想としては、各訓練内容は日本とあまり差がないとも思われましたが、リハビリを取りまく環境、システムが違っていたと思いました。まず、病院、NHとの役割分担がきちんとされており、病院での入院期間は短いですが、早期リハビリが十分行われる環境が整備されていると思いました。また、評価をしっかり行い、何が変化したかを明確にしており、発症後の患者の一日一日のリハビリを大切にしていると思いました。
社会保険制度が違うので、 日本でのリハビリを取り巻く環境はすぐには変わらないかもしれませんが、患者の一日一日のリハビリを大切にする事は今からでも、皆さん出来ることです。Let's
try!!
私も今回の研修で痛感したこの思いをいつまでも忘れず、日々の臨床に励みたいと思います。
アメリカ研修を終えて
第1病院 ST藤本一恵
今回「百聞は一見にしかず」ということで、加藤先生と同様に、JHUの研修に行って参りました。このような機会を与えて下さった才藤栄一先生、並びにリハ科の全スタッフに深く感謝しております。ありがとうございました。
私の仕事である言語聴覚士についてアメリカと日本ではまず名称が違います。日本ではST(Speech therapist)と呼ばれますがアメリカではSLP(Speech
Language Pathologist )と呼ばれます。JHUには入院患者担当の5名の女性SLPがおり、主に、失語症、構音障害、嚥下障害に対し訓練を行っていました。最も多いのは脳血管障害の患者ですが、銃による外傷も数多くみられました。JHUでは嚥下のリハがとても充実しています。JHUの嚥下リハの流れはまず、SLPがベットサイドにてスクリーニング的に患者さんの状態を観察し、併せてVFによる評価を行い、訓練プログラムを立案し、訓練を開始していきます。これらは日本でも同様です。訓練手技については、アメリカでは直接的に食べ物を用いる直接的嚥下訓練であるのに対し、日本では直接的に食べ物を用いることが危険な患者さんには安全性を考え、食べ物を用いない間接的な嚥下訓練から行うことが異なる点です。また、アメリカと日本では嚥下訓練に用いる食品も嗜好も違っており、訓練食ひとつとっても「アメリカ」を感ぜずにはいられませんでした。また、VF室、各病棟ごとに冷蔵室があり(鍵がかけられて厳重に管理されています)、その中に嚥下訓練食が常備されており、必要な時に必要なだけ使えるシステムになっていました。
以上がJHU嚥下リハの簡単な流れです。この研修を通して嚥下リハはチームアプローチが大切だと言うことを改めて感じました。国が違っても嚥下障害の患者さんのいるところに嚥下リハありといったところでしょうか。まとまりのない文になってしまいましたが、現在日本では初のSTの国家試験に向けて準備が進められています。この記事を通して、JHUの嚥下リハ、日本の嚥下リハ、STについても皆さんに知っていただくきっかけになれば幸いです。
教育病院紹介
第2教育病院(藤田保健衛生大学坂文種報徳会病院)紹介
第2病院 PT青木隆
当施設は、名古屋市の西に位置する中川区にあります。金山総合駅より歩いて、15分ぐらいの所です。今一つピーンとこない人でも、名古屋WINS(場外馬券場)の近くの病院と言えば、わかる人は多いと思います。そう言うわけで土、日曜日になると病院周辺は大変混雑しています。
当院は古い歴史をもって地域に根を下ろし、藤田保健衛生大学の第2教育病院として、市井病院の中隔としての役割を発揮しています。現在の診療科は内科、皮膚科、精神科、産婦人科、小児科、外科、整形外科、脳外科、形成外科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、麻酔科、放射線科であり、リハビリテーション科は残念ながら、まだない状況です。しかし、最近当院でのリハビリテーションの認識は高まり、整形外科の附属で存在しているというイメージから変化が生じてきていると思います。
リハビリのスタッフはPT8名、OT3名、鍼灸師4名、事務員1名、診療補助1名です。当院のリハビリ業務は、午前は外来患者、午後は入院患者となっています。地域密着型なので高齢者が多く、外来の患者は、腰痛、頚部痛、五十肩などの疼痛疾患がほとんどです。治療については、従来の療法プラス徒手療法を取り入れながら施行しています。また、外来では、退院後の患者を継続してfollowするケースも多く見られます。入院の患者は、頚部、腰部椎間板ヘルニアなどの脊柱疾患、股関節、膝関節などの関節疾患、外傷による骨折と整形疾患が多く、次いで脳卒中などの中枢疾患となっています。
現在、本院から週1回リハ医師の水野先生、皿井先生、小口先生が交替で来られています。リハ医師が来る日は、いつも診察や検査(EMG、VF)などが詰まっており、忙しい状況ですが、勉強会や症例検討会に参加してもらい、リハ医師の考え方や知識を聞くことができ大変勉強になります。
大学病院の本分である研究活動の方は、近年盛んになりつつあり、全国理学療法士学会、東海北陸理学療法士学会の発表も徐々に増えています。そして、今年は第13回世界理学療法連盟学会の発表をするスタッフもいます。また、愛知県理学療法士会の活動をしているスタッフ、大学に通っているスタッフ、現職者講習会や研修会で勉強されているスタッフも多いです。皆、それぞれ自分の能力、個性を生かしながら元気に頑張って仕事に励んでいます。
これからの時代、今まで以上にリハビリテーションに期待されるものは大きくなるでしょうし、逆に厳しさも増してくると思われます。当院としてもリハ医師、リハビリスタッフ、みんなで協力し頑張っていきたいと思っています。
研究促進担当 鈴木美保 寺西利生
第1回藤田リハビリテーション医学・運動学研究会賞(藤田研賞)のノミネートのために皆様の業績を集めさせていただきます。同封のフロッピーに業績を入力のうえ、御返送下さい。入力方法等についての詳細は同封書類をお読みください。今回入力いただくのは、98/4から99/3までの業績(論文掲載予定を含む)です。論文、学会発表、研修(海外も含む)、講演、教育などリハビリテーションに関連することはすべて含みます。最低限の情報(業績入力者名は当然)は、以下のとおりです。
著書・論文の場合 題名,共同執筆者,書名,掲載ページ,編者,発行所,版数,学会発表の場合 演題名,共同演者,学会名(開催回数),開催地,開催月日
あなたは日頃の研究成果をきちんと整理保存してますか?この機会を利用してまとめましょう。なお、返送締切は3/15です。お忘れなく!!!
原稿寄稿のお願い
各病院の各療法科の様子をはじめ、研究成果、研修会で取り上げて欲しい講演テーマ・講演者、研修会への感想ご意見など原稿をお寄せ下さい。随筆なども歓迎いたします。
原稿の長さは、1000-2000字程度。パソコンの場合は、出力された原稿とTEXT形式で保存したフロッピーを添付して下さい(使用機種とソフトを明記して下さい)。手書きでもかまいません。
お寄せ頂いた原稿は、紙面の都合で割愛または分割掲載となる場合がありますので、ご了承下さい。
詳細は広報局機関誌編集担当までお問い合わせ下さい。
2000/9/6 Sonoda & Tsuzuki