医療用廃棄物等からの放射線の検出問題について

2000.7.26

医療放射線防護連絡協議会
総務理事  菊地 透

  最近、病院内の非放射線管理区域や一般区域の金属回収業者の金属スクラッ プ資材から医療用の放射性同位元素が検出されるなど、医療用放射性物質への安 全管理についてのトラブルが多発しており、東海村のJCO臨界事故を含め、放射線・放射能への社会的な関心が高 まっている。そのため、一部医療用廃棄物業 者においては、放射線測定機器を整備し医療用廃棄物の集荷時に、自主的に放射 線測定を実施している事例が散見される。既に一部病院において医療用廃棄物等 から放射線が検出され、その対応に混乱が生じている。
  医療機関からの廃棄物のなかでも、核医学診療を受けた患者の排泄物が付着 した汚物やオムツには、糞尿中に投与した放射性医薬品が大量に混入しており、 放射線測定器で測定することにより有意に放射線が検出される場合がある。検出 される放射線レベルは、投与した放射性医薬品の時間経過や核種・数量などによ って異なるが、時にはバックグランドよりも数百倍以上の高い値に達するものも ある。
  現在、医療用廃棄物を含め一般廃棄物を取扱う業者では、集荷する廃棄物に放 射性物質が検出された場合,集荷することは出来ないとして、集荷対象から除外 されている。そのため、早急に医療用廃棄物に含まれる放射性医薬品を投与した 患者のオムツ等の取扱いについて、関係する学会・団体から放射線の環境影響、 安全評価を含め適切なガイドライン等を作成する必要があり、当協議会において も積極的に協力する考えである。
 なお、当面の間は、医療用廃棄物業者とのトラブルを避けるために、 医療用 廃棄物等に核医学診療を受けた患者のオムツが含まれる場合は、病院側の責任に おいて医療用廃棄物を集荷依頼する際に、放射線が有意に検出されない確認を実 施することを推奨する。

   「ご意見・情報募集」
   この放射性医薬品を投与した患者のオムツ等に関する取扱いのご意見や、環境 影響及び安全評価に関するデ−タ等の情報募集を行っていますのでメ−ルで願いします。なお、今後この廃棄物の問題に関する情報は、出来るだけ公開して、随時このコナ−に掲載しますのでよろしくお願いします。    


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